知識が社会経済の発展に大きな影響を及ぼす知識基盤社会の到来が指摘されて既に数十年が経ちました。社会経済はその後に複雑さと不確実さをいっそう増しており、高度な知識を集約させた科学技術イノベーションの適切な推進が、我が国のみならず世界のあり方を決める重要な要因となっています。
しかし、科学技術イノベーションに関する政策の立案や実施は容易ではありません。科学技術の研究開発活動は高度に専門的であり、その成果が社会で実用化されてイノベーションを実現するには長期間の複雑なプロセスを経ます。また、持続可能な社会の実現に向けては、多様なステークホルダーを含めた多面的な要素を含む意思決定が求められます。このように複雑な対象を扱う政策として、科学技術イノベーション政策自体が、客観的根拠に基づく立案、実施、評価を行うよう、高度化することが求められています。
本プログラムは、科学技術イノベーション政策に焦点をおいて修士号と博士号の授与を行う教育課程です。本プログラムを通じて、科学的アプローチを用いた科学技術イノベーション政策や戦略の企画・立案・実行、評価、修正の実務をおこなうことができる高度専門職業人や、科学技術イノベーション政策に関する高度な研究能力を有する研究者の育成を行っています。
さらに、2020年度からは、授業科目を夜間や土曜日にも開講し、働きながら就学できるように改編を行いました。また、履修証明プログラムである「科学技術イノベーション政策・経営人材養成短期プログラム」を新設しました。これにより、多くの人に就学の機会を提供できると考えています。
政策研究大学院大学は、ミッドキャリアの政治家・行政官・企業人を政策や戦略のプロフェッショナル、将来の指導者として養成することを目的として、世界的にネットワークを拡大しています。本プログラムの日本人学生も国内にいながら、そうしたキャリアの留学生とのつながりを得ることも可能です。
科学技術イノベーション政策に対する高い問題意識を持つ人材が集結し、本プログラムで得られる知見がキャリア形成と政策実践に活かされることを強く期待しています。