講演概要
本研究では、発明者サーベイの対象となった企業内発明者を用いて特許出願データベースを構築し(約1700名が対象)、企業内研究者の学歴がライフサイクルでの生産性にいかなる影響を与えているのか実証的に検証した。分析では、(a)課程博士号取得者の発明生産性は 研究開始年齢の相対的な遅れを考慮しても高いと言えるのかどうか、(b)論文博士取得者の生産性は課程博士修了者と比較して異なるのかどうか、に着目し た。主な分析結果では、(1)個人属性や職場環境をコントロールしても、学歴が上がるに従い発明の量と質ともに大きく上昇するので、教育期間の長期化にもかわ らず課程博士修了者の企業内での発明生産性は高い、(2)博士課程修了者と論文博士取得者を比較した場合、後者の方が全般的に生産性が高いが、統計的に有 意な違いは見いだせない、(3)学歴が高いほど、長期間にわたって発明活動に従事する傾向があることが明らかとなった。
講演者略歴
2009年4月 大阪工業大学知的財産学部専任講師
2006年8月 文部科学省科学技術政策研究所研究員
2005年3月 知的財産研究所研究員
2007年 一橋大学大学院経済学研究科 博士後期課程修了