科学技術政策・高等教育政策において、大学の個性化、ミッションの再定義、大学マネジメントの近代化が求められており、関連する政策が展開されつつあります。さらに我が国を含め、国際的な大学ランキングに対する社会的関心が高まってきています。このような状況を受けて、大学の側においても、独自の「戦略」の構築を念頭に置いて、内外の大学とのベンチマーキング等を含む定量的な分析を深めることが必要です。
本研修はこのような大学(研究独法を含む)の研究面を中心とする分析について、基本的な知見、手法の提供を行うとともに大学間の情報交換の場を提供することを通じて、大学の機能強化に貢献することを目的として開催します。
今年度は特に、大学の部局毎の論文分析をどう行い、比較するかについて、NISTEPの分析事例や手法の応用を紹介するとともに、昨年度に引き続きツール(試作段階)を用いて、自大学の部局分類や研究者別データを作成するという試みを行います。大学単位のみでなく、部局レベルのデータを用意することは分析を深める上で不可欠であり、各大学においてはこのような分析が実施されていると考えられます。しかし、ベンチマーキングのためには他大学についても部局レベルのデータが必要となります。このような分析を効率的に実施する基盤を作っていくため、自らも問題意識や考え方を発信する意欲を持つ皆様の参加を期待しています。
1日目:2018年3月27日(火)10:00~18:00
現在提供されている分析結果等についての紹介と大学の部局別論文分析分析の事例・手法・ツールの紹介を中心に行います。
・ガイダンス・受講者の紹介
・論文から見る国際的な研究動向
・国際的大学ランキング
・日本の大学ベンチマーキングの結果、日独比較
・NISTEPの大学部局別論文分析の事例及び手法
・Web of Scienceに関する情報提供
・部局分析用ツールの紹介
2日目:2018年3月28日(水)10:00~18:00
論文データベース(Web of Science)についての情報の提供を行うと共に、現状分析を研究マネジメントへの応用まで深めていく上 での問題意識、方法論等について参加者から発表していただき、全員で討議します。
・研究費と論文の関係(科研費の場合)
・サイエンスマップの応用
・マネジメントへの応用に向けた議論の枠組み
・受講者からの問題意識の発表
・現状分析とその応用に関する討議
大学・研究機関の研究企画・評価担当者、URA(University Research Administrator)及びURAとしての進路を希望する方、大学評価・研究評価等に関心を持つ研究者・学生、など ※大学評価等に対する前提知識は問いません。
桑原 輝隆 政策研究大学院大学教授
1975年東京大学教養学部基礎科学科卒、1977年同大学院理学系研究科相関理化学専門課程修士課程修了、同年科学技術庁入庁。振興局、計画局、原子力局、原子力安全局などで勤務の後、1989年より科学技術政策研究所に在籍。同研究所上席研究官、総括上席研究官、科学技術動向研究センター長、総務研究官を経て、2010年7月より2013年3月まで所長。2013年11月より現職。
大学部局別分析に関連する解説のために、科学技術・学術政策研究所から講師をお招きします。また、論文データベースのテクニカルな内容解説や分析事例紹介をしていただく外部講師を招く予定です。