講演資料: pdf
<概要>
本講演では、科学計量学、科学技術政策研究、リサーチ・インテリジェンスといった領域における研究を支えるために設計された大規模オープン学術ナレッジグラフ OpenAIRE Graph を紹介する。まず、OpenAIREの概要とOpenAIRE Graphの開発の経緯を説明し、データモデル、データ集約(アグリゲーション)のワークフロー、オープンサイエンス原則を重視した設計・運用方針といった特徴を概観する。OpenAIRE Graphは、論文、研究データ、ソフトウェア等の研究成果に加え、著者、研究機関、研究プロジェクト、資金情報などを、明示的なセマンティック関係によって相互に結び付けた、構造化され意味付けされたメタデータを提供する。この統合的な構造により、研究活動の動態分析、研究資金の流れの可視化、共同研究ネットワークの把握、学術的インパクトの評価、さらにはオープンサイエンスの進展状況のモニタリングといった高度な分析が可能となる。最後に、OpenAIRE Graphを活用した具体的な実践事例および分析例を紹介し、研究評価、研究モニタリング、戦略的意思決定を支える オープンな研究情報基盤 としての役割を示す。
講演者略歴
CNR-ISTI(イタリア国立研究評議会 情報科学技術研究所)のInfraScience研究室に所属。EUプロジェクト「OpenAIRE Nexus」に参画し、OpenAIRE Graphの開発と分析に焦点を当てた研究に取り組んでいる。科学計量学とオープンサイエンス実践の接点に位置する研究に関心を持つ。ピサ大学で情報工学の博士号を取得。現職以前は、英国ミルトンキーンズにあるオープン大学知識メディア研究所(KMI)で研究員を務め、SKM3研究チーム(学術知識モデリング・マイニング・センスメイキング)に参画。学術ビッグデータと研究分析へのデータサイエンス技術の応用を専門としてきた。
◆ モデレータ 沼尻 保奈美
京都大学附属図書館研究開発室助教(オープンサイエンス研究担当)。政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策プログラムにて博士(公共政策分析)を取得。専門は、オープンデータ政策およびオープンデータ慣行の実証分析。特に、OpenAlex、OpenAIRE等のオープン研究情報・データ基盤を活用し、オープンデータの利用実態やデータ引用の動向を分析するとともに、オープンデータが研究者の研究活動や知識生産に与える影響を実証的に検証している。